バラマンディ。
オーストラリア原住民アボリジニーの言葉で「大きなウロコを持つ魚」の意。
大型になると50kgになるこの魚は豪州ではもっともポピュラーなゲームフィッシュであり、
多くのアングラーを虜にしている。
日本では近似種として「アカメ」が存在し、遠くアフリカにも「ナイルパーチ」がいる。
生態はアカメ同様、海水~汽水域に生息し、
小魚や昆虫、そして小動物までを捕食対象とする。
オセアニアから東アジアまで広く生息し、白身で淡白な肉質は食材としても一般的な魚である。
私自身が始めてバラマンディを体験したのは、10年近く前にさかのぼる。
その時は初めてこの魚の爆発力と、ゲームフィッシュとしての面白さに触れ、
一度の体験で私はこの魚の虜となり、いつしかずっと「1mを超えるバラマンディを手中に」、
これが私の夢となった。
そして今回、その1mのバラマンディに挑戦する機会が訪れた。
場所はオーストラリア北西部「ノーザンテリトリー」。
オーストラリア有数のビッグバラマンディが狙える場所として、
豪州全土はもとより海外からもアングラーが訪れる、オーストラリア屈指のエリアである。
現在海外フィッシングツアーのアテンダーとしても有名なビッグトラウトにツアーをお願いし、今回の釣行が実現した。 日本国内がこのような時期だけに釣行自体をためらう時もあったが、
すでに決めた渡航だけに素直に自分の気持ちに正直に行動すべく、改めて釣行を実現させた。
準備面を紹介させていただく。
現地では5'6''~6'00''のヘビーアクションバスロッドが一般的。
バラマンディのファーストランは暴力的な強さを見せる為、このようなロッドの選択になる。
また障害物に居付いていることが多いので、キャスタビリティからショートロッドが常用される。
リールは各社のバス用ベイトリールが一般的。
今ではPEラインがオーストラリアでも主流の為、3号~4号のPEが100m位巻けるリールが望ましい。
ラインは前述の通り、メインラインがPE3号~4号。
ショックリーダーは40~60lb、時には80lbも使用する。
今回、私が用意したタックルは、
Rod : BOUZ Barra SP(Hard) 6'2'' & Barra SP(Light) 6'2''
Reel : 各社バス用ベイトリール
Line : (メイン)バリバス アバニキャスティングSMP #3
(リーダー) バリバスフロロカーボンショックリーダー60lb他
Lure : 12~14cmミノー(ロング/ショートビル)、ビックベイト(deps サイレントキラー175/250)、ポッパー等
※ すべてBOUZ Ring 70/100/130lbとOwner社ST-56に交換。
Drag : 2kg ~ 3kgに設定(ドラグチェッカーDC-1005を使用)
完全にメーターオーバーを照準として選択した。
ロッドは以前パプアンバス用に設計されたブランクを元に、かなり強いものを今回の為に製作。
メーターオーバーの為に、万全の準備である。
豪州の友人にバラマンディ用ロッドの発売を強く依頼されている為、
今回実釣試験も兼ねて、作成をした次第である。
ダーウィンまでの渡航は、ケアンズを経由して工程約11時間。
乗り継ぎの関係から到着までは14時間程度を要し、そこからロッジのある国立公園までは、
車で約2時間半。
オーストラリアは比較的近いが、フィッシングエリアまではあまり近くは無い。
この不便さがまた、アングラーの心をくすぐるのである。
「ここなら、居るのではないか?夢の魚が」
カカドゥ国立公園内を流れる「サウスアリゲーターリバー」。
名前の通り、ワニがウヨウヨ居る川である。
といっても川幅は河口域では琵琶湖南部の幅くらいある。
そこに無数の支流が差し込み、素晴らしいポイントを形成する。
そんな訳だから魚は様々な種が沢山居て、当然、ワニも沢山居る。
ガイドには「川縁に立つな」「船縁に立つな」と散々言われた。
5m位のが居て(実際に4m以上のを目撃した)、2.5mを超えると人を襲うようになるそうだ。
※ 今回見た中で最大の4.5m前後のワニ。船から数mの所に居る。
そしてバラマンディも、メーターオーバーというビッグサイズが、
この地では珍しくないらしい。
ただしトローリングでの釣果が一般的で、
キャスティングでメーターオーバーを手中にするのは難しい、とは地元ガイドの談。
しかし、この地でのビッグバラマンディへの最短距離は、ミノーやスイムベイトのトローリング。
当然ガイドも大きいのをゲストに釣らせたいから、トローリングをしたがる。
しかし私達はあくまでキャスティングゲームでのメーターオーバーを希望しており、
ガイドには「トローリングはNo Thank you」と4日間の釣行は徹底してキャスティングをガイドに依頼。
ガイドも快諾の上、夢の実現に対する釣行が始まった。
ガイドはBryan Spick。23歳の好青年であり、かなりのイケメン。
横顔はトムクルーズに似ていて、しかも優しいときているから、きっと女性にも大人気だろう。
ガイドの経験は4年だが、彼はすでにトローリングでは130cm、
キャスティングでも110cmをお客さんに釣らせている。
白人ガイド特有のサービスと、アングラーサイドに立った素早い判断は、
今回の釣行プランと結果を作り上げてくれたといっても過言ではない。
バラマンディは基本、
主流と支流の合流点や流れ込みの近辺を狙う。
この川の水の色は牛乳に少しコーヒーを入れたような乳白色だが、
支流や流れ込みの多くは、枯葉の養分を多く含んだ透き通った茶色。
丁度、来い麦茶や烏龍茶と言えば、伝わるだろうか。
この2種類の水質が合わさる境目に、バラマンディは多く居付く。
しかし、大型のバラマンディは違う。
比較的川幅のある主流に流れ込む支流の河口域や、
主流の中の流れの当たっているハードボトムに居ることが多いとは、Bryan。
実際、今回の釣行で出た大型の多くは実際にそういった場所に居た。
誘い方は移動距離の少ないトゥイッチやジャーキングが一般的。
そしてバラマンディの目の前で多くルアーを動かしバラマンディをじらすことで、バイトに持ち込む。
基本、にごった水質なので移動距離を少なくするのがポイント。
そして時に優しく、時に激しく焦らす。
そうすることで、気難しい大型のバラマンディがルアーを襲うのである。
バイト後、バラマンディはとにかく強い。ファーストランはシイラのそれに近い。
暴力的で、容赦が無い。
そのファーストランを交わし、ストラクチャーから魚を離さなければアングラーに勝利は無い。
私の今回の結果を述べると、
多くのバラマンディが姿を見せてくれ、その素晴らしいファイトは改めて私を魅了してくれた。
しかし、夢は現実とはならなかった。
メーターオーバーのバラマンディをキャッチすることは出来なかった。
最終日、かなりのサイズをキャッチすることが出来たが、
あと少し、ほんの少しだけ夢には届かなかった。
しかし今回の結果を持って、私はまた夢の続きを見ることが出来る。
改めて夢を現実とする為の行動を起こすことが出来ることを、嬉しく思いたい。
またこの地を訪れたいと思い、そして夢の魚を手にしたいと思うことが出来る。
そうしていることが最も幸せなのではないか、
結果が出なかったからのように聞こえるかもしれないが、事実そう思う次第である。
最後に、私と同じく夢を追い求めるアングラー諸兄(諸姉)の為に、
ささやかではあるがダーウィンに関する遠征でのタックルに関する情報を下記に公開したい。
(渡航の手配)
まず渡航に関しては、有力な情報をより多く持つ業者に、是非とも依頼すべきである。
特にバラマンディに限らず大型の魚を狙う場合は、
その魚が多く居る場所と、外国人である私達にも気さくに接してくれ、
且つ腕利きの良いガイドが必要不可欠となる。
よって、今回のビッグトラウト社の様な世界に精通している業者を選ぶべきである。
また、旅行業者に明確に「釣りたい魚」と「サイズ」(これも重要)をすべきである。
そうすれば、費用面も含めて相談に乗ってくれるはずである。
(ロッド)
日本のアングラーは軽いロッドを好むが、バラマンディのファーストランは強烈で、
軽いロッドでは下手をすればロッド自体がひとたまりも無い。
よって耐久力と操作性のバランスを念頭にロッドを選ぶべきである。
これはバラマンディに限らず、バス、トラウト、ビッグゲーム全てに共通する私の意見である。
長さは現地定番の5.6~6ftで良いが、オープンウォーター用にもう少し長いロッド(7ft前後)も用意すると、
可能性が広がると思われる。
(リール)
リールは耐久性と信頼性が高いほど良い。
遠征先で使えなくなってしまったのでは、話にならない。
そして性能も高いほど良い。
コントロールを必要とするキャストや、遠投等、様々な状況でいろいろなキャストが要求される為である。
(ライン)
私が最も遠征時に気を使うのが、ライン。
常日頃から信頼性の高いと私が評する、バリバス社のラインで私は統一している。
また、スペアも多く持参すべき。
ラインが無いという理由で釣行できなくなっては、目も当てられない。
ラインは日本製が世界最高、これは私の持論だが、
経験から海外ではラインは値段が高く、とくにPEに関しては豪州では非常に高価である。
バラマンディに関しては、
メインラインはPEの3号~4号、ショックリーダーは40lb~60lbが望ましい。
(ルアー)
日本製のルアーは素晴らしい。十分海外の魚にも効果があると私は思う。
今回、特にdeps社のバリソンミノー130SPは、素晴らしい釣果をもたらしてくれた。
アクションやスローフロートの加減が多くのバラマンディを魅了した。
バラマンディの場合、黒金や赤金、そしてチャートリュースが基本。
理由は私には判らないが、とにかくこれらの色が良く釣れる。
日本製のソルトミノーは細いものが多いが、海外ではこの細さがマイナス要素になる。
ベイトのシルエットが違うからである。
そういった中、depsバリソンミノーはシルエット・飛距離・アクションと、どれをとっても素晴らしい。
(ノーザンテリトリーの場合)
また、シャッドラップやロングA等のバラマンディルアーとして古くから実績のあるルアーも、効果は顕在。
とくにベイトが小さいエリアでのシャッドラップの破壊力は群を抜いていた。
良いものは良い、これは古今東西変わらないようである。
そしてもうひとつ、軽視してはいけないのが「ご当地ルアー」。
日本製と比較すると、飛距離が出にくく見た目も決してリアルとは言えない。
が、その魚を釣る為に現地のアングラーが腐心し生まれているこれらは、素晴らしい釣果を見せる。
そう、「使い易さ」ではなく「釣れる」を重視しているのである。
可能であれば、是非とも現地のルアーを試していただきたい。
B-52やKiller Lure、そして今回の最大魚をもたらしてくれた「Halco Scorpion」は大変よく釣れる。
(消耗品)
フックとリングは是非とも、強いものに変えて戴きたい。
いや、必須といっても良い位である。
実際、今回用意したフックでも伸ばされることがあった。
バラマンディはその位、強い。
私以外にも巨大魚に夢を見、そして現実にしたいと思っているアングラーは大勢いらっしゃるであろう。
もし、実現できるのであればその夢に挑戦されては如何だろうか?
遠征をするのであれば、確かに失うものは有る。
コストも準備・渡航と大きく必要となる。そして海外の場合、語学や文化の違い等、不安も募る。
しかし少しの勇気と行動力で夢を現実とすることが出来る可能性がある。
一生忘れることのない体験が、出来る可能性が有る。
諸兄もご自分の背中を是非、ご自分で押してみては如何だろうか?
もし、夢を持っているのであれば。
BOUZプロダクション
吉川 信弘